『花の生涯~梅蘭芳~』

『さらば、わが愛 覇王別姫』の陳凱歌(チェン・カイコー)が再び京劇を舞台にして話題となっている
注目作『花の生涯~梅蘭芳~』。
3月7日(土)東京・新宿ピカデリーにて先行公開、4月11日(土)から全国公開に先駆け、
1月には記者会見が、2月にはプレミア上映会が東京にて行われた。
今回、F2AWebでは、この記者会見とプレミア上映会の様子をご紹介。
いよいよ全国公開となる本作の魅力に迫っていこう。

先行プレミア上映会舞台挨拶    2009.02.25 新宿ピカデリー

上映に先立ち、主演の黎明(レオン・ライ)、章子怡(チャン・ツィイー)、安藤政信氏の3人が舞台挨拶を行う事となっていた為、会場の新宿ピカデリーはファンで満席、熱気に包まれていた。
レオン・ライ目当てと思しき女性達から、チャン・ツィイーファン、映画ファンという男性陣まで客層は幅広く、黄色い声援あがるものの落ち着いた雰囲気の中で進行していった。チャン・ツィイーはアルマーニの黒いワンピースに効果的にアクセサリーをあしらい、眩い可憐さで会場を圧倒、レオン・ライはジーンズに白いシャツ、ジャケットと彼らしい気負いのないファッションでの登場となった。

― 一言ずつ挨拶をお願いします。
レオン・ライ(以下レオン):(日本語で)コンバンハ。皆さん『花の生涯~梅蘭芳~』を観に来て下さってありがとうございます。
チャン・ツィイー(以下チャン):(日本語で)皆サン、コンバンハ。(英語で)この映画を気に入って、楽しんで下さればと思います。
安藤政信(以下安藤):皆さん今日は。出演した映画の公開は日本で2年ぶり位で、久々の仕事で嬉しく思っています。今日はありがとうございます。
― 久々の来日の感想は?
レオン:嬉しいです。よく見知ったファンの方々、初めての方もいらっしゃいますね。皆さんの期待に値する映画だと信じています。鑑賞後は僕達と同じ素晴らしい経験が出来ると思います。
チャン:出演作が公開される度に来日して皆さんとお目にかかれますね。『女帝[エンペラー]』(原題『夜宴』中国・2006年)以来2年振りです。日本の観客の方の応援はとても励みになります。今後も良い映画を作るよう頑張っていきます。
― 来日して食べた物、体験した事はありますか?
レオン:全く時間がありませんでした。
― ベルリン国際映画祭に参加された感想をお聞かせ下さい。
(レオンが安藤に答えるよう勧め)
安藤:海外の映画祭のコンペティデョンに参加したのは初めてでした。とても感動しましたし、高揚感を抱いたままベルリンに滞在していました。チェン・カイコーという素晴らしい監督に出会えた事にとても感謝していますし、アジアのスター二人と映画を通じて出会えた事にも感謝しています。
チャン:10年前のデビュー作『初恋のきた道』(原題『我的父親母親』中国1999年)以来の参加でした。10年後の再訪なので特別に感じました…。ベルリンは凍え死ぬんじゃないかと思うほど寒かったです。
レオン:僕もツィイーと同じで、10年前に『ラヴソング』(原題『甜蜜蜜』香港1996年)でベルリンへ行きました。ベルリンの感想も彼女と同じで、とても寒かったです。良かった事は滅多に見られないツィイーの美しいドレス姿が見られた事です。飛行機では安藤さんと一緒にベルリンのビールを飲んだりもしました。

― では、映画について伺います。伝説の演技人、梅蘭芳を演じられていかがでしたか?
レオン:この映画を通じて学んだ事が沢山あります。私は北京出身ですが、幼い頃香港へ移住し、イギリスに留学して香港で芸能界デビューする機会に恵まれました。北京に住んでいた時に知らなかった事を香港やイギリスで学んだりしましたが、中国文化について知らない事もあり、この作品で学びました。中国のエンターテインメント産業がどのように始まったか、その中でも国粋と言われる京劇を体験し京劇役者を演じて、どのように発展したのか、どのように劇場が出来たのか理解出来たと信じています。人は毎日絶え間なく成長していますね。監督からも多くを学びました。最も嬉しかったのは、素晴らしいスタッフ、共演者と素晴らしい作品の中で暮らせた事です。
― 今まで様々な役柄を演じられていますが、今回の男形の女優という役は演技してみてどうでしたか?
チャン:孟小冬は、歴史上に実在する芸術家です。作中で男形を演じるシーンがあり、私は習得の為に2ヶ月間毎日先生に付いて、衣装の着方、ヒゲの付け方、靴の履き方等を学びました。多分2分足らずのシーンですが、練習時間は相当なものでした。皆さんに気に入っていただけると嬉しいですね。そして、小冬と梅蘭芳の感情のやりとりにとても感動しました。二人の愛情は純潔で、時には情熱的で時には壮烈で…、触れ合ったりしないのに台詞などから感動出来るんです。役者という立場言うと、演技時間が長いかどうかより小さな役でも新しい表現方法や形式を見付けられる事が重要です。皆さんに気に入っていただけますように!
― 監督から直々のオファー、そして中国語の堪能な日本人将校役で海外作品に参加されたお気持ちは?
安藤:僕自身、日本映画だけでなく海外の作品に挑戦して行きたいという気持ちはありましたが、ずっと観ていたチェン・カイコー監督の作品に出演する側になるとは思いもよりませんでした。役者として成長するいい機会だと思いましたし、日本と中国の過去の歴史に関しても、過去から学んでその先に自分がどう触れていくかという上で重要な役でもあり、重要な作品と感じ、是非出演したいと思いました。実際に行ってみると言葉の面等で苦労する部分も沢山ありましたが、それを全部飲み込んで心血を注いでも参加したいと思う作品でした。
― 実際に中国語を学ばれて、スクリーンで話されているんですよね。
安藤:中国では吹き替えが当たり前のように使われるのですが、僕は田中隆一として自分の声で皆さんに伝えたいと思ったので…。(笑顔を見せながら)本当に努力しましたね、自分でそう言えます!(会場から自然と拍手がおこる)
― 実際に共演シーンが多かったですが、安藤さんを俳優としてどのように思われましたか?
レオン:僕にも彼と同じ経験があります。韓国で映画を撮った時に、周りが何を言っているのか分からず、コミュニケーションは全てジェスチャーでした。だから、彼の気持ちがよく分かるので安藤さんが北京へ着いた日に一緒に食事に行きました。撮影中はお互いの役柄や台詞について理解しているので順調でした。彼は本当の芸術家だと思います。作品内での彼は芸術を守る為に最後は自分が犠牲になってしまうのですが、映画の中でも外でも彼は芸術家であると、感服しています。
― チャン・ツィイーさんは共演シーンがなかったですが、作品をご覧になられて如何でしたか?
チャン:私も鈴木清順監督の映画(『オペレッタ狸御殿』2005年)出演の為に2~3ヶ月ほど日本に滞在した事があるので、新しい言葉、新しい環境で演技をするのがいかに大変か良く分かります。安藤さんの演技はとても素晴らしいと思いました。外国人が海外で映画に出演するのは本当に大変な事なので、彼に敬服します。今後も中国語の勉強を続けて頂き、今度はもっと絡みがある役柄で共演出来たらと思います。
― 映画をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。
レオン:心から感謝しています。映画を観て、我々と同じように旅をして下さい。
チャン:日本の皆さん、日本の映画関係者の方々に心からお祝いを申し上げます。2日前に素晴らしい(アカデミー賞の)オスカーを2つ受賞されましたね。同じ国ではありませんが、同じアジアからの受賞という事で映画人として誇らしく思います。これからも努力し続けていって下さい。
安藤:2年も前から撮影した映画を日本の皆さんに観ていただける事をとても嬉しく思っています。『梅蘭芳』を通して、様々な困難に立ち向かっていく勇気や乗り越える強さを学びました。
皆さんも生きるヒントを得られると思います。今日は本当にありがとうございました。

レオン・ライは安藤政信が話し終えると自分のマイクを脇に挟んで、両手できちんと拍手をするという場面が何度か見られた。そんな風に一見穏やかで高貴な雰囲気は梅蘭芳という役柄そのままなのだが、自身が話す際にはマイクを両手で持ち、句点がどこにあるのか全く掴めない位のスピードで一気に話す。やはり一筋縄ではいかないレオン・ライらしさをこの日も見せてくれた。この逆と言えるのがチャン・ツィイー。今や大女優の威厳たっぷりといった感のある彼女は、自分のペースで比較的ゆっくりした口調で話す。それがチャーミングさを際立たせて、女性から見ても非常に可愛らしい印象を受けた。安藤氏は、しっかりと自分の言葉で語る姿が日本人代表として頼もしく思えた。

本作『花の生涯~梅蘭芳~』はこの日舞台挨拶した3人だけではなく、陰の主役とも言える孫紅雷(スン・ホンレイ)や、梅蘭芳の少年時代を演じる余少群(ユィ・シャオチュン)ら、中国を代表する名優達の素晴らしい演技も堪能出来る。そして、チェン・カイコー監督作だけに衣装や風景含め全てが芸術といえる美しい作品である。そんな世界に浸っていると約2時間半という上映時間も全く気にならない。チェン・カイコー監督が同じ京劇を描いた『さらば、わが愛 覇王別姫』とはまた異なる京劇の世界を存分に堪能して欲しい。

『花の生涯~梅蘭芳~』

http://meilanfang.kadokawa-ent.jp/


『さらば、わが愛 覇王別姫』の陳凱歌が15年の時を経て描く、伝説の京劇俳優、梅蘭芳の生涯。絢爛な女形に隠された壮絶な愛の物語。

中国の伝統芸能 京劇界で最高の女形として語り継がれる、梅蘭芳。生涯を京劇に捧げ、世界中に京劇を伝えた彼が、日中戦争の激動の時代に翻弄されながらも、愛と芸に生きた人生を描いた。
監督は、『さらば、わが愛 覇王別姫』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、中国の時代と運命に翻弄される人々を描き続ける、巨匠陳凱歌。主役の梅蘭芳を演じるのは『ラブソング』『インファナル・アフェアⅢ』のレオン・ライ。梅蘭芳が愛する女性にアジアで最も美しい女優チャン・ツィイー。そして、日本からは、梅蘭芳の人生を大きく変えた日本軍中佐に安藤政信が参加。アジアで最も注目される俳優が集結した。

出演:レオン・ライ、チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、チェン・ホン、ワン・シュエチー、安藤政信 ほか
監督・脚本:チェン・カイコー
配給:アスミック・エース 角川エンタテインメント

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