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公開中の話題の歴史大作『墨攻』。日本、中国、韓国、香港のスタッフ、キャストを結集したこの注目度No.1の作品のジャパンプレミアが1月16日夜に行われた。香港から監督の張之亮(ジェイコブ・チャン)、主演の劉徳華(アンディ・ラウ)、韓国よりアン・ソンギ、中国からの范冰冰(ファン・ビンビン)に加え、撮影監督として参加した阪本善尚氏も登場し、華やかに行なわれたこのプレミアでは撮影の裏話なども披露された。その様子をここにご紹介していこう。
ジェイコブ・チャン監督、アンディ・ラウ、アン・ソンギ、ファン・ビンビン、阪本善尚氏の挨拶に続いて、主演の三人にそれぞれの役について司会進行の襟川クロさん質問していく。 ― 《革離(カクリ)》。アンディさんが演じられると、“アンディ・ラウ”というスターの存在はありつつその役に重なってしまう。今回も随分と共通点があったような気がしました。思想的に、タフネスぶりに、そして知恵、知識、全ての部分で…。
劉徳華(アンディ・ラウ、以下・劉):外見的には僕と漫画の主人公とは似ていませんが(原作の漫画では革離はスキンヘッド、ひげボウボウのむさくるしい男)、思想、気持ちは主人公と全く同じです。
皆さんにそばにいる人を愛して頂きたいという事です。 ここでクロさん、すっかり旧知の間柄のアンディをからかって「今日、髪は?」と問いかける。現在撮影中の映画『刺馬』
(原題・陳可辛監督作品)の役のため髪を剃り上げているアンディは被っていたニットキャップを脱いで見せ「今、これがトレンドなんです。でしょ?」と言うと観客からは温かい拍手が起こり「実は今撮っている映画の為に髪を短くしたんです。半年後に新作が完成しますから、この半年はこの『墨攻』だけ観て下さい。他の人の映画は観ないように!」とクロさんと観客を爆笑させた。 ― アン・ソンギさんは革離の敵、ライバルではありながらお互いをプロとして認めあっているという素敵な瞬間があります。二人の間には、愛、あるいは友情、といった何かが生まれていたのでしょうか?
アン・ソンギ(以下・アン):私が《巷奄(さんずいに奄)中(こうえんちゅう)》という将軍に魅力を感じたのはまさにおっしゃった点なんです。ただ攻撃する将軍のカリスマだけを見せるのではなくて将軍もひとりの人間として描かれていて人間の姿もきちんとみせてくれて、相手への尊敬の気持ちも持っていたと思います。

― アンディさんとはお互いに話し合ったりする時間をお持ちになったんですか?
アン:いつもレストランで食事していたんですが、ある時、アンディさんのチームの人達がレストランに行かずに部屋で食事をしていたんです。いい匂いがしたので、覗くと「入っていいよ」と言ってくれてご馳走になりました。撮影中は仕事の話も沢山しましたし、私からみると弟の様でもあり、友達の様でもあるそんな間柄になりました。

― ファン・ビンビンさん。密かに一人の男性を思いながらも、「私の使命は…」と悩んだり考えたりしますよね。アグレッシブに「さぁ、恋仲よ」って事をしません。どんな思いでこの役演じられましたか?
范冰冰(ファン・ビンビン、以下・范):古代中国では女性の愛情に対する表現の仕方、考え方において保守的な部分があり、ストレートではない部分があります。私が演じた《逸悦(イーユェ)》という女性は、革離を凄く好きなのですが、どこか信じられない気持ち…、若い女性が男性に対する気持ちの中でどこか不安定で繊細な情緒的なものを持っているんです。
彼が一人でやって来て「城を守ろう」と言った時、周りの人は誰も信じられませんでした。彼女も例外ではなく、一人で数万人の大軍をどうやって退治出来るのか不思議でした。ところが革離がその知恵で色んな問題を解決し、敵を退治した時には町の人々同様に彼を信じ、尊敬するようになり、段々好きになっていくんです。先ほども申し上げましたように古代中国では女性の感情表現が非常に繊細で優しくてストレートではないので、今どきの映画の愛情表現とは全く違うものがあったのでその辺に注目して演じました。 ― ファンさんも好きだなと思った方には中国女性らしく控えめにあまり言葉に表さずじっと待つタイプでいらっしゃいますか?日本女性は大体そうなんですよね。
范:私も日本女性と同じです。ストレートに「好きです」と言って相手にされなかったら恥ずかしいですから。だから密かに好きになって相手に暗示をかけるような形で気づいて欲しいなと思います。 ― 阪本撮影監督にお聞きします、今回はかなり気候的に大変だったようですが?
阪本善尚撮影監督(以下・阪):そうですね。約2ヶ月、零下の所での撮影ってのは初めてでした。夜の戦いのシーンが監督の好みで凄く多くて夕方から朝までやるんです。すると大体零下10度以下のところで頑張る事になります。そんな寒さの中、アンディさん、アン・ソンギさんはじめ皆さんアクションをやるというのにびっくりしました。僕のカメラも寒さでなかなかモーターが回らない中での撮影でした。最後に
「自分が今までで最もピンチだと感じた事は?」という質問が出され、
劉:一番のピンチはあちこちで戦争が行われている事。自分から遠いところのような気がしますが、いつか自分のすぐそばで戦争が起こるんじゃないか、それが一番恐れている事です。
アン:今まで生きてきてそれほど危機的な情況になったことなく順調に生きてきました。今後危機的な情況にぶつかるかも知れませんが、その時はいい機会だと思って出来るだけ前向きに受け入れたいと思います。
阪:この映画を観て頂くと作品のスケールと迫力の凄さを絶対に感じると思うんですが、残念ながらこのスケールを日本映画の力だけで作り得る事が段々難しくなってきました。これが僕にとって一番のピンチでした。
今回、ジェイコブ監督に誘われてこういう映画らしい映画に参加出来て自分が積み重ねてきた職人の芸みたいなものが思い切って出来たのは幸せでした。けど、やはり日本にもこういうスケールの映画らしい映画がかつてのように自由に作れる時代がもう一度くればいいなぁというそういうピンチを感じつつ参加していました。
この発言を受けてジェイコブ・チャン監督が「我々俳優、スタッフにとっては他のスタッフの皆さんもスターだと思っています。そして今回中国、韓国からお越しになられた方にも感謝の意を表明したいと思います。
また阪本さんにも本当にありがとう、とこの場をお借りしてお伝えしたいと思います」と締め括って、ジャパンプレミアを終えた。

日本の人気漫画をアンディ・ラウ、アン・ソンギという香港、韓国を代表する二大スターによるキャスティングでおくるこの作品のスケールは構想やキャスティングのみならずスクリーン上でも果てしなく大きい。まだご覧になっていない皆さんは急いで劇場に足を運んでいただきたい。
『墨攻』歴史の闇に葬られた〈墨家〉
大国が小国に攻め入り、力で制する――世界史の中で数えきれないほど繰り返されてきた侵略戦争は、21世紀になっても絶えることがなく、悲劇をもたらし続けている。しかし、強者のエゴに敢然と立ち向かい、弱者を守り抜こうとした集団が2000年以上も前の中国に存在した。儒家と並ぶ勢力を誇りながら、歴史の闇に葬られた〈墨家〉である。
戦乱の世に「非攻」を掲げ、平和を目指して戦い続けた墨家。彼らは決して自ら攻撃を仕掛けることはなく、しかし守るためには戦闘のプロとなった。この集団は、春秋時代末の紀元前5世紀に思想家・墨子によって創始された。そして紀元前3世紀、始皇帝の中国統一によって戦国時代が終わると、忽然として消えた。その間200年余。
彼らは、いかに戦い、いかに守ったのか?
伝説のコミック待望の映画化
多くの謎に包まれている墨家だが、革離というひとりの墨家の男を主人公にした森秀樹(作者)と久保田千太郎(漫画脚本)によるコミック「墨攻」が1992〜96年、小学館の「ビッグコミック」に連載されると、読者の大反響を呼んだ。今なお熱く語り継がれているこのコミックの原作は、酒見賢一の中島敦記念賞を受賞した同名小説である。
日本で生まれた傑作コミック「墨攻」は海外でも熱烈なファンを獲得し、そのひとりである香港の監督が映画化を決意。
日本、韓国、香港、そして墨家の故国である中国の3カ国4地域が手を組み、待望の映画化が実現した。
1人対10万人の戦い
革離は陥落寸前の小さな城に駆けつけ、たったひとりで10万人の敵を相手にする。優れた分析能力と的確な判断力を持ち、常に先手を打って、意表をつく守城戦術の数々を駆使する革離。クールな頭脳、磨き抜かれたテクニックで強大な敵を打ち負かすさまは痛快だ。そして、一旦引き受けた任務は死に物狂いで果たすプロフェッショナリズム。その姿は、過酷な現代社会を生き抜く男たちや女たちにも重なる。
彼は決してヒーローとして表舞台に立つことのない、ひとりの孤独な男である。平和な世界を実現するという崇高な理想を胸に、ときには非情な戦士となり、ときには敵の命も惜しむ人間臭さを垣間見せる。その強さ、優しさが観る者の心を揺さぶる。
アジアの精鋭を結集
革離には香港からアジアのトップスター、アンディ・ラウ。敵の猛将・巷淹中には韓国の国民的俳優アン・ソンギ。大物俳優2人を囲んで、次世代アジアン・ビューティーとして注目を集める中国の若手女優ファン・ビンビン、TVドラマ「春のワルツ」で日本でもブレイクが期待される韓国若手男優チェ・シウォン、
台湾出身の人気俳優・歌手ウー・チーロン、そして『始皇帝暗殺』の中国の性格俳優ワン・チーウェンが国際色豊かに豪華共演。
監督・脚本は、構想10年にして映画化を達成した『流星』のジェイコブ・チャン。香港、中国の精鋭スタッフとともに、日本からは撮影監督の阪本善尚、音楽の川井憲次らが参加。アジアの粋を集めた歴史アクション大作の誕生である。
公式サイト:http://www.bokkou.jp/
2006年/中国・日本・香港・韓国カラー/2時間13分
提供:キュービカル・エンタテインメント/アミューズソフトエンタテインメント/松竹/小学館
配給:キュービカル・エンタテインメント |